現在表示しているのは、次のバージョン向けのドキュメントです。Kubernetesバージョン: v1.28
Kubernetes v1.28 のドキュメントは積極的にメンテナンスされていません。現在表示されているバージョンはスナップショットです。最新のドキュメントはこちらです: 最新バージョン
オーナーと従属
Kubernetesでは、いくつかのオブジェクトは他のオブジェクトのオーナーになっています。 例えば、ReplicaSetはPodの集合のオーナーです。 これらの所有されているオブジェクトはオーナーに従属しています。
オーナーシップはいくつかのリソースでも使われているラベルとセレクターとは仕組みが異なります。
例として、EndpointSlice
オブジェクトを作成するServiceオブジェクトを考えてみます。
Serviceはラベルを使ってどのEndpointSlice
がどのServiceに利用されているかをコントロールプレーンに判断させています。
ラベルに加えて、Serviceの代わりに管理される各EndpointSlice
はオーナーリファレンスを持ちます。
オーナーリファレンスは、Kubernetesの様々な箇所で管理外のオブジェクトに干渉してしまうのを避けるのに役立ちます。
オブジェクト仕様におけるオーナーリファレンス
従属オブジェクトはオーナーオブジェクトを参照するためのmetadata.ownerReferences
フィールドを持っています。
有効なオーナーリファレンスは従属オブジェクトと同じ名前空間に存在するオブジェクトの名前とUIDで構成されます。
KubernetesはReplicaSet、DaemonSet、Deployment、Job、CronJob、ReplicationControllerのようなオブジェクトの従属オブジェクトに、自動的に値を設定します。
このフィールドの値を手動で変更することで、これらの関係性を自分で設定することもできます。
ただし、通常はその必要はなく、Kubernetesが自動で管理するようにすることができます。
従属オブジェクトは、オーナーオブジェクトが削除されたときにガベージコレクションをブロックするかどうかを管理する真偽値を取るownerReferences.blockOwnerDeletion
フィールドも持っています。
Kubernetesは、コントローラー
(例:Deploymentコントローラー)がmetadata.ownerReferences
フィールドに値を設定している場合、自動的にこのフィールドをtrue
に設定します。
blockOwnerDeletion
フィールドに手動で値を設定することで、どの従属オブジェクトがガベージコレクションをブロックするかを設定することもできます。
Kubernetesのアドミッションコントローラーはオーナーの削除権限に基づいて、ユーザーが従属リソースのこのフィールドを変更できるかを管理しています。 これにより、認証されていないユーザーがオーナーオブジェクトの削除を遅らせることを防ぎます。
名前空間をまたぐオーナーリファレンスは仕様により許可されていません。 名前空間付き従属オブジェクトには、クラスタースコープ、または名前空間付きのオーナーを指定することができます。名前空間付きオーナーは必ず従属オブジェクトと同じ名前空間に存在していなければなりません。 そうでない場合、オーナーリファレンスはないものとして扱われ、全てのオーナーがいなくなった時点で従属オブジェクトは削除対象となります。
クラスタースコープの従属オブジェクトはクラスタースコープのオーナーのみ指定できます。 v1.20以降では、クラスタースコープの従属オブジェクトが名前空間付きのオブジェクトをオーナーとした場合、 解決できないオーナーリファレンスを持っているものとして扱われ、ガベージコレクションの対象とすることができません。
v1.20以降で、ガベージコレクターが無効な名前空間またぎのownerReference
や名前空間付きのオーナーに依存するクラスタースコープのオブジェクトなどを検知した場合、OwnerRefInvalidNamespace
を理由とした警告のEventを出し、involvedObject
で無効な従属オブジェクトを報告します。
kubectl get events -A --field-selector=reason=OwnerRefInvalidNamespace
を実行することで、この種類のEventを確認することができます。
オーナーシップとファイナライザー
Kubernetesでリソースを削除するとき、APIサーバーはリソースを管理するコントローラーにファイナライザールールを処理させることができます。
ファイナライザーはクラスターが正しく機能するために必要なリソースを誤って削除してしまうことを防ぎます。
例えば、まだPodが使用中のPersistentVolume
を削除しようとするとき、PersistentVolume
が持っているkubernetes.io/pv-protection
ファイナライザーにより、削除は即座には行われません。
その代わり、Kubernetesがファイナライザーを削除するまでボリュームはTerminating
ステータスのまま残り、PersistentVolume
がPodにバインドされなくなった後で削除が行われます。
またKubernetesはフォアグラウンド、孤立したオブジェクトのカスケード削除を行ったとき、オーナーリソースにファイナライザーを追加します。
フォアグラウンド削除では、foreground
ファイナライザーを追加し、オーナーを削除する前にコントローラーがownerReferences.blockOwnerDeletion=true
を持っている従属リソースを削除するようにします。
孤立したオブジェクトの削除を行う場合、Kubernetesはorphan
ファイナライザーを追加し、オーナーオブジェクトを削除した後にコントローラーが従属リソースを無視するようにします。
次の項目
- Kubernetesのファイナライザーについてさらに学習しましょう。
- ガベージコレクションについて学習しましょう。
- オブジェクトのメタデータのAPIリファレンスをご覧ください。